30代の研究者として、どう生きるか?気をつけたい3つのこと
30代の研究者として、どう生きるか?
30代半ばになると、自分の成果だけでなく、部下育成やチームマネジメントが求められてきます。
要は、いつまでも自分のことばかりしてないで、ちゃんと周りにも良い影響を与えなさいと。
過去にはこんな記事も書いてみました。
出世と仕事。30代で上に行く人に求められるスキル・考え方って何だろうってね。
出世と仕事。30代の悩める君へ。上に行く人に求められるスキル・考え方とは?|りけろぐ
およそ3年前、社会人ドクターとして博士号を取得したわたしは、いちど事業経験を積みたいと要望を伝え、10年ほど続けてきた研究を離れ、いまは事業部にいますが、この3年は非常に学びの多い3年でした。
(まだ事業部にいますし、これからもいるかもですが)
基礎研究を10年ほど続け、論文ばかり書いてきたわたしは、主に以下の3つを学びました。
いまさら!?そんなんでサラリーマンしてるの?!と思われるかもしれませんが、井の中の蛙は大海を知らないのです。
知らないというか、興味がなかったと言うべきかもしれません。
実験大好き!何か面白い発見が出来たり、新しいもの作ったりするのクッソ楽しい!!
と無邪気に学生時代から15年生きてきたら、30代半ばになってしまいました\(^o^)/
物理が大好きで、さらに言えば三度の飯より実験好きな電気電子オタクだったわたしは、運良く企業に研究職として採用され、そのまま生きてきたわけです。
このままではいかん!と。
企業で行う「研究」とはなんぞや?!と悩む今日このごろ。
以下の本は、企業の「研究」だけでなく、大学での「研究」も学ぶことが出来ます。
研究者としてうまくやっていくには 組織の力を研究に活かす (ブルーバックス)
- 作者:長谷川 修司
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/12/18
- メディア: 新書
技術力が高くてもビジネスで成功するとは限らない
研究成果が世の中にビジネスとして商品やサービスとして出るのって極稀です。
数多くの「研究」がそのまま「研究」として幕を閉じます。
ただ、他の技術と組み合わせて「リバイバル」として花咲くこともあります。
研究では非常に泥臭いことをしていますし、ちょっと「性能があがった」り、「世界で初めて」なことをやってみたり。
でも「研究」として価値を出すことと、世の中に「ビジネス」として出すことには大きな隔たりがあります。
AI(ディープラーニング、機械学習)、IoT、5G、などなどこれまでも名前を変えながらも、世に広まってきました。
こういった名前が世の中に定着する前には、基礎研究として様々な名前で取り組まれてきて今に至ります。
学生時代の自分は無邪気でした。
俺の技術は世界一ィィィィ!!!
というのをやりたかったんです。
今はトップデータ争いが過酷なことも身に染みて感じています。
上の考えはそれぞれで、人が変わると方針も変わる
会社の方針に基本的に従うのが「サラリーマン」ですが、上が変わると方針も変わります。
これはどの組織も同じかもしれませんが、「やりたいこと」と「やるべきこと」は分けなくてはいけません。
そして、目線を合わせる必要があります。
意思決定をするためには、
「いまやらないと、こんな最悪な状況になる」
というのをお金で算出して見せる必要があります。
「えっ、なんで今、うちがやる必要があるの?あとでいいじゃない!」
と言われるのがオチです。
非常に極端な1例ですが・・・
「いま、これをやらないと、2年後には1億円の損害があります。」
とか。
「なので、それを避けるために今1000万ほど投資してください」
となるわけです。
「判断材料」を用意する必要があります。
たとえば・・・
が必要です。
そのため、色々と展示会に行ったり、実際にヒアリングをしたり。
これまでのわたしは、
「これは誰もやったことがない」
「世界で初めて」
「競合に先駆けて」
こんな説明ばかりしていましたが、ここに「お金」の要素が足らなかった。
他社がやってもいいじゃないって言われてしまうんです。
一時期流行りましたよね。
「2番じゃダメなんですか?」
トップデータ争いの場合、『1番』であることに価値があります。使われている技術はどうあれ、『数字の勝負』という場面もあるんです。
ただ、それが『1番』であるのはほんのひとときです。
スパコン(スーパーコンピューター)なんてまさにそうですよね。
先日、Googleの『量子コンピューター』の報道には少し驚きましたが、あれは賛否両論ありますね。
技術者達が切磋琢磨しながら、より良いモノを創り出していってます。
もちろん、「2番(後発)」でもいいこともあります。
世の中に出回れば、安く手に入りますからね。
特許という観点があるとまた話は別ですが。
誰もやったことのない「研究」をするには「お金」がかかります。
ぶっちゃけやってみないと分からないことばかりですが、「期待される効果」は意識しないといけません。
1000万円投資した場合、どんな成果が期待できるのか?
この3年で、「お金」について少し意識が回るようになった、かもしれません。
なにかしら弾込めしないと、5年後には困る
とはいえ、現状のままではいけません。
なにかしら「投資」しないと会社としての発展はありませんからね。
このまま、同じサービスや商品を提供し続けていけばよいかと言うと、消費者はよりよいもの、便利なもの、などなど色々と求めます。
わたしも、いち消費者として、自分の価値観をもって選びます。
安いこと、便利なこと、新しいもの、
などなど。
価値観はひとそれぞれ。
現状のままでは、いずれビジネスとしては競合他社もある場合、衰退してきます。
「世の中を豊かにしていく」という想いをもった研究者が、ビジネスを学ぶと、どうなるか?
ニーズばかり意識するようになってしまいます。
そこに自由な発想を盛り込むことができるか。
あと10年はそのネタで食べていける(論文を書いたり、学会発表できる)か?
さらに、部下やチームの面倒がみれるか。
25歳から35歳を超え、「研究者」として生きるのはなかなかハードになってきました。
無邪気に「自分の研究だけ」に集中できなくなりましたからね。
これまでの上司や諸先輩方のおかげでここまできましたが。
さあ30代の研究者を楽しもう!
どのフェーズを見ながら、『研究』を行うか。
しっかりと見定めていかないとこれからの世の中、生き延びていけないなぁと思ったそんな30代半ばの秋でした。
20代の駆け出しでもなく、40代の脂の乗った時期でもない。
ちょうど過渡期の30代。そして半ばになってしまいました。
ビジネスとして成功したいの?
研究者として成功したいの?
いや、そもそも「成功」ってなに?
ほんとうに「成功」したいの?
色々と悩み多き30代半ばなわけです。
明るい未来を描きつつ、
「自分の好きなこと」で生きていく!
さあどこまでこだわるか、何を妥協するか。しないか。
「研究すること」についてもし悩んだら、ぜひこの本を読んでみてください。
頭で分かったつもりでも、実際に自分でやってみるのってとっても大事。
研究者としてうまくやっていくには 組織の力を研究に活かす (ブルーバックス)
- 作者:長谷川 修司
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/12/18
- メディア: 新書
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